2005.4.4 その瞬間が訪れた。高山勝成、当時若干21歳。
WBCミニマム級チャンピオンのイサック・ブストス相手に終始試合の主導権を握り、
時計の針は最終12ラウンド2分30秒を越える。
あと30秒・・・・20秒・・・・10秒・・。
VTRはその時間から始まっている。
「チャンスが来たら1回で必ずモノにする」
日本タイトルマッチで畠山に敗北て以来、頑なにずっと自分を信じていた。日本でも、東洋でも必ず・・・。
しかし巡ってきたのは「絶対ベルトを取るって決めてましたけど、こんなに早くチャンスが来るとは思わなかった」と感じた世界への階段。
ならば必ず取る、そう覚悟を決めていた。
「でもまだ21歳、思ったより早く取れすぎたので色気がでたのかも・・」
高山勝成がWBCのベルトを手にした時間は同時に、WBO・IBFの
ベルトも狙いたいと始めて感じた時でもあった。ボクシングを始めた頃から好きだった
チャンピオン、オーランド・カニザレスが巻いていたあのベルトも欲しい・・・。
WBC、そして暫定ながらもWBAの2本のベルトを手に入れてさらに、海の向こうの世界がもっと
気になりはじめた。世界の強豪と闘い抜き、プロボクサーとしての成功とリスペクトを実力で勝ち取る世界。
その頂点のある世界に行くことを望むと、WBO・IBFのベルトが自然と見えてきた。
ワールド・チャレンジ・ボクシング、そして「カツナリ・タカヤマ」の時計の針は、勝成の心の中でWBCのベルトを手にしたこの一瞬からひそかに動きだしていた。